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2008 年12 月30 日

家電リサイクル法(再)〜ヤマトHD

25日付日経にヤマトホームコンビニエンスが顧客から回収した廃家電の一部をメーカーに引き渡さなかったのは家電リサイクル法に違反するとして環境省と経産省が厳重注意処分をしたという記事が掲載されていた。

 同社は、引越業者なので、なぜ家電リサイクル法の適用があるのかと思っていたら、同社は、引越の際に家電の販売・設置をも行うことから家電の小売業者にもあたるため、家電リサイクル法の適用がある。
 小売業者が消費者から引き取った廃家電の一部をメーカーに引き渡さないと家電リサイクル法の引渡義務違反にあたる。しかし、引渡義務違反に対しては、引渡の実施に関し必要な指導・助言をすることができ、これに反したときは引渡すべき旨の勧告をすることができ、その勧告に従わなかったときは勧告に係る措置をとるべき旨を命令でき、この命令に反したときは50万円以下の罰金に処することができるが、家電リサイクル法の実効システムはこれだけで、「厳重注意処分」という規定はない。

 また、事実関係の中でよく分からなかったのは、同社が廃家電を引き取る際にリサイクル料金を受け取っていたのかどうかだ。引越サービスの一環として無料で廃家電を引き取っていたのであれば、単に家電リサイクル法の無知ということですむのだが、記事の中には顧客から徴収したリサイクル料金は順次返却を始めているとあり、もしリサイクル料金を徴収しながらこれをメーカーに引き渡していないのは、場合によっては詐欺にも該当するおそれがある。

 また、記事によると、引き取った廃家電への家電リサイクル券の貼付漏れがあったというが、家電リサイクル券は、排出者やメーカーに「廃棄物1品ごとに交付する」としか規定されておらず、廃家電に貼付するという規定はどこにもない。

 また、環境省の報道発表資料によると、「他の引越業者においても廃家電の引き取りを求められることが想定されるため、本件のような類似事案の発生を防止し家電リサイクル法の適切な執行を図るため、業界団体を通じて引越業者が引き取った特定家庭用機器廃棄物の製造業者等への確実な引渡しの実施等についての周知徹底を行いました」とあるが、家電リサイクル法は「家電小売業者」にしか適用されないから、一般的な引越業者には廃家電の引渡義務はない。

 いずれにしても、家電リサイクル行政はよく分からない。

投稿者:ゆかわat 08 :10| ビジネス | コメント(0 )

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